由里の部屋がある8階までなんとか上がると、部屋に入ってジャケットを脱がせる。
ジャケット以外はあまり濡れていなかったので、由里は青年に、そのままの格好でベッドに入るよう促した。
「まだきつい?お水でも飲む?」
由里が横たわった青年に声を掛けると、青年は目をつむったまま、ふるふると頭を横に振った。
「…そう。何かあったらいつでも声かけてね。」
そう言って由里は立ち上がると、キッチンへ向かい、スーパーの袋を開けて、買ってきた物品の整理を始めた。
キッチンへ行ったついでに炊飯器のスイッチを押し、ご飯が炊ける準備を終わらせたところで青年の様子を伺った。
布団が上下に規則正しく動いているところを見る限り、青年は眠ってしまったようだ。
シャワーを浴び、部屋へ戻っても青年はベッドに横になったままだった。



