由里はスマホの画面を開いた。


「とりあえず近くの病院に——」


その瞬間、青年はスッと立ち上がり、スマホを持っている由里の手に、自分の手を重ねて制止した。


——でか!!


由里は立ち上がった青年を思わず見上げた。
たぶん180センチ近くある。
彼は由里を真っ直ぐ見つめて見下ろしている。


——わぁ、ホントにキレーな顔…。


由里は思わず見惚れてしまい、目をそらせずにいた。すると、彼はまた小さな声で呟いた。


「病院は…行けない」


「え?なんで??」


反射的に由里がそう尋ねた瞬間、青年がよろけたのでとっさに由里が両手を使って支えた。
かなりきつそうだ。
こんな状態になっても病院に行かないと言うのなら、よっぽどの事情があるのだろう。


「とりあえずうちに来て安静にしな!ね?」


そう由里が言うと青年は小さくコクリとうなずいた。