由里は思わず青年の腕を掴んだ。
「キミ、ウチでとりあえずあったまりなよ。そのままだと風邪引くよ?」
年下を放っておけない質の由里は、おせっかいかもと思いながらもそう言って、青年の腕を控えめに引いてみた。
しかし青年は顔を埋めたまま動かない。
でも声をかけてしまった以上、今更見捨てるのは何となく気が引ける。
それに…なんだか彼からは不穏な空気が感じられた。
由里は本能的に「彼を一人にしてはいけない」と感じていた。
とはいえ、びくともしない青年を前に、由里がどうしようかと悩んでいると、青年がぼそっと呟いた。
「血が…欲しい…」
「え!?血?」
由里は驚いて思わず聞き返した。でも青年は黙ったままだ。
——もしかして貧血?顔色が悪いのはそのせい??