甘噛み吸血鬼は、トドメをささない (短)

「雫が許してくれるなら、今、ココから吸血する。でも――“ご飯を食べる”だけじゃ終わらないって、分かるよね?」

「わっ、!」


分かるわけないじゃん!と言いたいのを我慢して「相手は病人だから」と自分に言い聞かせる。


「回復したら、すぐにやめてくれる?」

「銃で撃たれたんだ。かなりの時間が掛かるかも。それでもいいの?」

「……もうっ」


なんとなく、分かる。

ご飯を食べるだけじゃなくて、

彼はきっと、もっと先の事を――


「私の全部を“食べない”って約束して」

「いいよ。トドメはささないって約束する」

「と、トドメって……」


思わずゴクッと喉がなる。それを聞いたのか、唯月くんは牙を出して笑った。


「最後までしないってこと。代わりに、甘噛みは許してくれると助かる」

「甘噛み?」

「――ふふ。

味見、みたいなものかな?」

「っ!」


唯月くんの笑った顔はキレイ過ぎて、怖いくらい整ってる。そんな彼に、これから自分が何をされるかを想像して――少しだけ体が震えた。

だけど、ふわっと。

私の両手の拘束を解いた唯月くんが、優しく抱きしめてくれる。