甘噛み吸血鬼は、トドメをささない (短)

「相手が雫じゃ、神代も前途多難だ」


クツクツ笑う唯月くんは、どう見ても元気そのものに見える。地面の血も広がらないから、血は止まっているんだろうな。


「唯月くん、もう元気だね。安心した」


ホッ安堵の息をもらす私。

だけど、唯月くんは――


「まだだよ」

「へ?」

「据え膳食わぬは男の恥、って。学校で習わなかった?」

「え、それどういう⋯⋯ひゃ!」


私の左胸に、唯月くんが顔を埋める。そして、鼻先をツンと胸に押し当てた。


「柔らかい。美味しそう」

「じ、実況しないで!」

「俺が食べていいの?」

「へ?」


唯月くんは、胸から顔を離して私を見る。そして真剣な顔で、もう一度「いいの?」と言った。