甘噛み吸血鬼は、トドメをささない (短)

「お前が人間になってくれて、俺は嬉しい。お前は知らないだろうけど⋯⋯。

雨水と保健室に行く間。二人きりになれて、俺は嬉しかったんだぞ」

「⋯⋯へ?」


それって、どういう――?

だけど、神代くんはそれ以上なにも言わなかった。今だ泣きながら唯月くんを抱きしめる私を見て、眉を八の字にする。


「まさか、吸血鬼に負けるなんてな」


言いながら、銀色の銃を仕舞う神代くん。どこかに電話をかけ、無表情でこう言った。


「こちら、務。吸血鬼神の死亡を確認。無事に任務完了した事を報告する」


ピッ

電話を切り、きびすを返した神代くん。颯爽と立ち去るのかと思いきや――ピタリと立ち止まり、顔だけを私に向けた。


「今から言うことは独り言だ。人間を庇った吸血鬼への、冥土の土産とでも思え」

「神代くん⋯⋯?」