甘噛み吸血鬼は、トドメをささない (短)

「これは⋯⋯?」

「もう血を止めろ。既にソイツは死んでる。雨水まで道連れになる必要は無い」

「死んでる⋯⋯?」

「その目で確かめてみろ」


私が呆然と唯月くんを見ている間、神代くんが私の手にハンカチを巻いた。ギュッと痛いくらいに縛られ、止血される。

その間も私は、唯月くんから目が離せなくて⋯⋯。泣きながら、神代くんに尋ねた。


「まだ息があるよ」

「ない。ちゃんと見ろ」

「今にも起きそうだよ?」

「起きない。心臓は止まってる」

「でも――!」


必死になった私に、神代くんはキュッと下唇を噛んだ。それが何を意味するか分からないまま――

私の口は、神代くんの手により塞がれる。

そして優しい声で、神代くんは「雨水」と私の名前を呼ぶのだった。