言われてみれば、変だ。吸血鬼は人間の血を吸わないと、お腹が満たされないから。

私は人間の血を吸いたくなくて、色んな血を試してみた。だけど――溢れ出る食欲は、人間の血じゃないと満たされなかった。


「はい。雨水さんに質問です」


ニッコリ笑顔で、唯月くんは二つの平皿を持ってきた。

お皿の上に置いてあるもの。それは、カレーライス。そして、赤い液体。


「まさか、これ⋯⋯」

「一つは俺お手製のカレーライス。そして、もう一つは人間の血。

さぁ雨水さん。今、

どっちを食べたい?」

「!」


ビックリした。まさか、こんな質問をされるなんて思わなかったから。

だけど、それ以上にビックリしたのが――血を飲みたいって、一ミリも思わなかった事。

ばかりか、カレーライスを見て、さっきからお腹がグーグー鳴っている。

その音を聞いて、唯月くんは「素直でよろしい」と、私にカレーライスを差し出した。スプーンも添えて。