「そ、そんな事ないよ。それより⋯⋯。
話してくれるよね?唯月くんの正体の事」


私の言葉に、唯月くんは「もちろん」と笑った。綺麗な笑顔だ。白い顔に、切れ長の瞳がよく似合っている。

だけど、忘れちゃダメ。綺麗な孤が描かれてる、あの口。あそこから立派な牙が、確かに覗いていたんだ。


「唯月くん、あなたも――

吸血鬼なんだね?」


意を決して聞くと、唯月くんは頷いた。
ただ一つ。ある事を訂正して。


「俺“は”吸血鬼だよ。
雨水さんは、もう違うけどね」

「⋯⋯え?」

「君の吸血鬼としての血を、全部“もらった”よ。変だと思わなかった?吸血鬼が吸血鬼の血を吸うなんてさ」

「!」