放課後、空き教室の片隅。床の上に横になっていた私は、動けなくなっていた。

その理由は、とっても簡単。


「血、血が……足りない」


吸血鬼のくせに全く血を飲んでいなかったから、飢餓状態に陥っていたのだ。


「なんか、目がかすんできた……」


人間界でイレギュラーな吸血鬼。それが私こと雨水 雫(うすい しずく)。

両親は人間だけど、どういうわけか、私だけ吸血鬼だった。


私が吸血鬼という事は、誰にも気づかれていない。もちろん、お父さんお母さんにも。

そう。
誰にも気づかれていない、

はずだった――


「俺の血、飲んで?」

「……へ?」