微笑んだ直後、前に座っていたカンナがこちらへ寄り掛かってきた。


「なになに? いま呼んだ?」


私より何倍も社交的なカンナが加わり、コソコソ話が一層盛り上がっていく。

要くんは物静かなタイプだが、南くんは見た目通りフランクで話しやすい。……なんとなくだけど、2人の関係性だけでなく、その空気感も私達に近い気がする。


2時間ほど続いた先生達のつまらない話の傍ら、すっかり打ち解けた私達は、昼食の約束をして一旦解散した。




「午後から選択授業のお試しじゃん、何にするか決めてる?」

「それ悩むよね」


カンナの質問に応えながら、賑やかな食堂を見渡す。

1年生のみの行事とはいえ、生徒だけでも270名以上の大所帯だ。4人で喋るならできるだけ静かな、長テーブルの端がいい。


「オレ、音楽だけは無理だわ」

「ウチもー! やっぱ春先生の美術かな」


2人の意見に要くんが頷く。個人的には、書道が無難なんだけど。


「ねぇねぇ、一緒にいい?」


私達が食事をはじめてすぐ、昼食トレーを持った3人組の女子が横に立った。その軽やかで明るい声に、カンナがノリよく応じる。

まだまだ空席があるなかで声をかけるということは、同じクラスだろうか。


「なに話してたのー?」

「選択どーする?って言ってたとこ!」

「へぇ。南くん達はもう決めてるの?」

「オレ? いや、やっぱこのあとの体験次第かな」


南くんの返答に、そうだよねーっと彼女達が笑顔で互いに見合う。

どうやら、目的は彼等らしい。


――――2人ともカッコいいもんね。