──ピンポーン

「千颯か?」

「ケンさんこんばんは、例の鍵開けてほしくて来ました」

「おぉ、わかったわかった。今開けちゃる」

インターフォン越しに聞こえたのは優しそうな男性の声

扉が開いて出てきてくれたのは、見た目も優しそうな男性だった

「初めまして、酒寄くんと同級生の峰本恋羽です」

酒寄と親しく話していたから失礼は良くないと名乗ると微笑んでくれた

「よいよい、峰本さん。(千颯の彼女か?)」

「(ううん、今はまだ。でも、そうなったらいいなって思ってる人)」

2人で話が進んでいるみたいで、男性は屋上を開放してくださり、ブルーシートにかき氷さらにスイカまで持ってきてくれた

男性は酒寄のはとこの父親らしく、親戚だけど血は繋がってない人だからか話しやすいと説明してくれた

さっき買ったラムネ瓶で乾杯もしていた

──ひゅーん、ドォン  パラパラッ

ついに花火が始まった
すごくきれいに見えて、特等席だと感じる
だって私、今好きな人の横にいるんだよね

前髪崩れてないか、浴衣が着崩れしてないか
そっと確かめて大丈夫だと確認して花火に視線を戻す

隣で花火を一緒にみれるなんて私幸せものだよね

「好き」

っ! 慌てて口を押さえたけどもう遅い
気を抜きすぎちゃった