「そら!」

夏祭り当日、浴衣を着たすずが鳴神くんにすぐ気づいて呼んでいる

「待った?」

「ううん、待ち合わせも新鮮で楽しかったよ」

「その浴衣、似合ってる。」

「ひと目で気に入っちゃって」

2人で盛り上がっていて、もはやふたりの世界

私、傍から見てて不審者と間違えられたりしないかな

浴衣で来たからそこまで目立つことはないと思う

というか、思いたい

すずの表情をみるに緊張なんてしてるように見えない

私いらないのでは?と思うほど

鳴神くんはというと相変わらずすずには甘い

逆に男友達や私に対してはそっけないことが多い

すずの友だちだから私には話してくれるようになったほうだけど

すずを不安にさせないようにっという彼なりの思いやりだと思う

鳴神くんの態度からすずのことが本当に好きなんだなということが伝わってくる本当に一途っていいな

いつか私も…
なんて考えて頭をふる
私の好きな人には好きな人がいるから

私は好きな人の想いを応援したい
たとえ彼の恋が叶わないものだとしても

「早く行こ?」

待ちきれないすずは鳴神くんをせかして、祭の門をくぐる
私はそんな2人のあとをついていった