聞かれてませんように、と隣を向くと目を見開いていた彼と目があった

「聞こえてた?」

「俺の聞き間違いなんかじゃねーよな?」

やっぱり聞こえていたみたい
思っていたことが無意識に声に出るって私ダメだなぁ

でも、ここでごまかすのはもっといけない
たとえ望み薄でも言わなきゃ

覚悟を決めて息を吸う

「私、酒寄が好きなの「俺は峰本が好きだ」」

重なったふたりの声、

「酒寄はすずのことが好きなんだと思ってた」

すずの名前を出したら引き受けてくれたりすることが多かったし、すずと話すときは楽しそうだった

すずには鳴神くんがいるからって一歩引いてるんだとばかり

「それは、峰本が頼ってくれたから。それに、水無月さんと盛り上がる話は峰本のことだけだよ」

私を誘って祭りに参加したかったこと
結局誘えなくて、元バイト先の手伝いをしていたこと
でも、今一緒にいれること

「俺から好きって言いたかったのに先越されたから、これだけは言わせてほしい。峰本恋羽さん、俺と付き合ってください。」

「はいっ」

花火は私たちを祝福してくれてるかのようで
さっきよりも近い距離で夏の夜空を見上げた