「恋羽~お願いがあるんだけど・・・」

そう私に頼み込んできたのは、水無月 翠杏(みなづき すず)

私がすずって呼んでいる可愛い女の子

彼女とは高校に入学してすぐ、私から話しかけた

席は水無月と峰本で席が近かったから一気に仲良くなってそれからはずっと一緒

学年が変わっても、3年になってクラスが離れちゃった今でも

「今日はどうしたの?」

そう先を促してみると『実は・・・』と話し始めた彼女

「実はね、そらに夏祭り行こうって誘われてて」

すずの幼なじみでもあり、彼氏でもある鳴神 宙(なるかみ そら)くん

すずが去年、彼の部活の合宿と重なって行けなかったと泣いていたのを覚えている

「だけどね、行ってもいいのかな」

行きたいと行ったらだめが彼女の中でせめぎあっているんだろう

私たちは今高3だからイベント事は避けて勉強した方がいいと先生も親も言っているから

「すず、すずはどうしたいの?」

「そんなの行きたいに決まってるよ!」

「なら、夏祭りぶんの勉強は他の日にカバーしよう?鳴神くんとの夏祭りデート楽しみなよ」

彼女の中ではもう答えは出ているはずだから少し背中を押す

「うん、そうだよね!私行くってそらに伝えなきゃ」

スマホを開いて文字を打つ彼女