キーン コーン カーン コーン


朝の爽やかな空気の中、いつもの音が鳴り響く。
この音を合図に今日1日が動き始めた。


「席につけー」


先生の一言で立っていた生徒たちは席についた。



「市川の隣休みか?」


担任は名簿を確認しながら生徒たちに聞いた。

その時、勢いよく教室のドアが開かれた。




「先生!ごめんなさい!
 妹を幼稚園に連れてっていたら、間に合わなく
 って!」



凛とした声が聞こえる方を向くと、そこには俺の隣の席の女子がいた。



華宮 夏帆


白い肌にスラっとした体型。

腰まである長い髪をゆるくまき、横をピンで止めてある。
遠くからでもわかる大きな瞳と華やかなオーラ。


見ただけでわかる、おそらくこの女子高生は一軍だと。




そして、男子ウケはもちろん。
女子ウケも良く友達が多い。



ここまで完璧な高校生がいるのかと思うほど、彼女はカンペキであった。



「おはよ〜」と言いながら、爽やかに席に着いた。

「市川くんもおはよ!」


「おぉ。」



短い返事を返すと、華宮さんは表情を変えずに前を向いた。


遅れて入って来ても、友達の輪に入れるようなコミュニケーション能力。




定期考査では学年TOP10には毎回入り、球技大会や体育祭では選抜リレーで活躍。



本当に完璧に思えてくる。