「千崎くん、私もっと2人が仲良くなれる作戦考えるね」

「おう」



ふわり、と桜の花びらが舞うような笑顔を向けられ、もう抑えることもできない胸の鼓動を鼓膜で感じながら立ち上がる。

私に続いて、千崎くんも機敏に立ち上がった。



「じゃあ今から反省会ってことで、旧図書室行こう」

「えっ、反省会なの?作戦会議じゃなくて?」

「何事も最初は反省からだよ!ほら行くよ!」



散々落ち込んでいたのに吹っ切れた途端、千崎くんを置いて教室を先に出る。

「待てよ」と、千崎くんの声と足音を背に受けながら早足で廊下を歩く。



「急に元気になったな」

「千崎くんが励ましてくれたから」

「励ましたつもりはないけどな」

「でも、ありがとう。元気出たっ」

「それはよかった」

「それでさ、1週間千崎くん見てて思ったんだけど、千崎くんはもっと紗良とちゃんと目を合わせたほうが……───」

「待て待て待て、反省は旧図書室入ってからだ!」



そんな会話をしながら、私たちは旧図書室の扉をバタンと閉めた。