「走れメロスって、中学の授業でやんなかった?」
私と紗良は、千崎くんがいるグループに入れてもらい、男女3人ずつの計6人のグループを作った。
そして早速、グループの1人である倫太郎くんが、走れメロスの小説をパラパラ捲りながらグループのみんなに聞く。
確かに『走れメロス』は中学の時に授業でやった作品だ。
村に住むメロスが、残虐行為を繰り返す王様に楯突き、王様を怒らせ処刑を言い渡される。
妹の結婚式のためメロスは3日間の猶予が欲しいと嘆願し、王様はメロスの親友を人質にしそれを引き受けた。
ボロボロになりながらもメロスはギリギリ王様の元へ辿り着き、ちゃんと戻ってきたメロスを見て王様が改心する、という話だ。
誰もが知ってるような作品を引いてよかった。
これはネット引用しなくてもスラスラ書けそうだ。
「倫太郎いつも国語の授業寝てたけど、よく覚えてたな」
「まぁな!」
千崎くんの小馬鹿にした言葉に、倫太郎くんは本当に馬鹿みたいな受け答えをしている。
このグループディスカッションで、少しでも紗良が千崎くんと話してくれるといいんだけど……。
チラッ、と隣にいる紗良を盗み見すると、千崎くんと倫太郎くんの会話に口角を緩ませていた。
それを見て、やっと安堵する。


