「でも、千崎くんはいい人だから。紗良も正真正銘いい女だし、2人はお似合いだと思うよ」
この言葉に嘘なんてないから、私はちゃんと心からの笑顔で言えた。
紗良はそんな私を見て、口角を緩ませて笑う。
困ったような、でも嬉しいような、私が1番好きな紗良の柔らかい笑顔だ。
「私は頼んでないよ、恋のキューピットは」
「幼なじみのよしみで、頼まれたら喜んで引き受けますよ」
「じゃあ、その時が来たら頼もうかな」
「心よりお待ちしております」
礼儀正しく、気品に満ちた所作で頭を下げる私を見て、紗良は「誰の真似よ」と笑う。
綺麗に畳んだ野菜ジュースのパックをずっとイジイジしていた紗良は、やっと机に置き頬杖をついて私を見る。
今度は私が話す番だ、と矢印が向いているのが紗良の目から見えるのは気のせいだろうか。
ゆっくりと視線を外しそっぽを向くと、頬をつねられ強制的に目を合わせられる。


