【そのノートまだ捨てないで】



……ん?



【私に前言ってくれたこと憶えてる?
私に気になる人ができたら、恋のキューピットやってくれるってやつ】



……んん?



【依頼、していい?恋のキューピットさん】



「え、ええ!?」



ピコンッ、となんとも軽快な新しいメッセージがまた現れる。



【私、旧図書室で話した時嘘ついた。
千崎を見てたんじゃない、倫太郎のこと見てたの】



その文を、2度3度読み返す。

千崎くんの後ろの席は倫太郎くんだ。
そして、いつも2人は一緒にいる。

千崎くんを見てた、と勘違いしてもおかしくはなかった。


そういえば、クラスマッチの練習、千崎くんのシュートよりも倫太郎くんのシュートの時に反応していた。

今日、旧図書室で話している時も、倫太郎くんに千崎くんのことが好きだったの?と誤解されて、紗良はすぐに慌てて否定していた。

思い返せば、いくつも紗良が倫太郎くんのことを気になっているという場面があった。


すぐに紗良に電話をかける。

1コールで紗良は電話に出た。



めいっぱい空気を吸って、



「───どんな恋でも繋いでみせます!」



そう、スマホ越しで大きく強く断言した。





[完]