「頼む、顔が見たい」
だけど、そんな事言われたら頷くしかない。
「うん……」
瞬間、勢いよくカーテンが開いて、千崎くんは長い足で一歩足を踏み入れると、すぐに私との距離を詰めてくる。
「千崎くん、私も……」
いつもならそこで止まるちょうどいい距離感。
だけど、それも無視して更に距離を詰められ、まだ途中なのに言葉を攫われる。
驚いて目を見張る私のことも無視して、その距離がゼロになった。
頭が追いつかない。状況が呑み込めない。
今、私は千崎くんに抱き締められている……?
まだ夢を見ているかのような浮いた気持ちが、フワフワと頭にクエスチョンマークを浮かべる。
あの時、背中から感じた温もりがまた伝わってくる。
千崎くんの匂いに包まれ、また涙が溢れてくる。


