その時、もう1つの奥側の扉から出たクラスメイトが私たちに気づいて声を飛ばす。
「2人とも!もうすぐ試合始まるよ!」
「次勝ったら準々決勝だよ!早く行こう!」
クラスメイトに手招きされ、私と世莉はお互い顔を見合せてから笑って頷いた。
「凛。何もしなければ幸せも降ってこないよ」
「え?」
「傷ついて苦しくて泣いたとしても、その傷を癒すのは幸せしかないんだから。結局、幸せを求めるにはその分傷つくことも覚悟しないといけない」
強く握られた手を、また更に強く引っ張られる。
「幸せになりたいなら、恐れずに向き合うしかないの!だからまずは、恐れずに戦って優勝して幸せになろう!」
飛び跳ねながら世莉が廊下を突き進んでいく。
「え、待って!裕介くん置き去りにするの?」
「いいのっ、裕介!応援に来てね!」
「うん行く、頑張って2人とも」
そんな淡白な会話をして、世莉はあははっと高笑いしながら私の腕を引っ張り体育館へと連れられる。
世莉のテンションに乗せられ、私まで可笑しくて声を出して笑ってしまう。
世莉の言うとおり、幸せになりたいなら傷つくことに向き合うしかない。
紗良も、そう言いたかったのかな……。
試合開始のブザーが鳴り、審判の手から離れたボールが天井に向かって投げられた時、心が晴れた気がした。


