女子校だと女子だけの世界だったおかげで、体育祭も楽しくやれていたらしい。

だけど、男女共学だと"美人だから"という僻みや妬みが加わり、女子は凶暴化して紗良は陰口を叩かれる対象になってしまった。


もちろん私は、親友でもあり、幼馴染でもある紗良の陰口を聞いて黙っているほど寛容な心は持っていない。



「ねぇ、陰口叩くなら絶対に誰も来ない場所で言ってくれない?」



手洗い場を独占する4人組の背中に向かって牙を向けると、彼女たちは互いの顔を見合わせ、女子特有のアイコンタクトで何かを伝え始める。



「え〜ごめん、聞こえてた?」

「とぼけないでよ。他のクラスにも聞こえるようにわざと大きな声で話してたでしょ」



入学当初から美人だと男子に騒がれていた紗良を、彼女たちがよく思っていないことは、彼女たちの態度を見れば明確だった。

今回もきっと世間話のような口振りで、わざと紗良が運動神経が悪いから足を引っ張っていることを、他クラスにも広めてどうにか男子の人気を落としたいのだろう。


本当にくだらない。