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───8月、お盆が終わった半ば勝負の日はやってくる。
「あれ、なんでそんな早起きしてるの?」
キッチンに立ってフライパンに油を回している最中に、お母さんが長い髪を慣れた手つきでお団子にしながらリビングに顔を出す。
「前に言ったじゃん、この日は弁当作るからお母さんの分もついでに作るねって」
「あっそういえばそうだったね、ラッキー」
娘の言ったことくらい憶えていて欲しいものだ。
相変わらず物覚えが悪いお母さんに呆れながら、熱したフライパンに溶いた卵を入れる。
「にしても豪勢なおかずね」
「向こう行っててよ、邪魔だから」
「お母さんのこと除け者扱いするなんて、なんて親不孝な娘なの」
よよよ、と演技くさい泣き真似をしているお母さんにまた呆れた笑みがこぼれる。
そんなお母さんを無視して、卵を箸で丁寧にクルクルと巻いていく。


