「…………下山先生!」

駐車場に着くと誰かに呼ばれた

振り返って見ると小山先生がいた

「小山先生………何ですか?」

「何って………いいんですか?
 会議、途中だったのに………」

「………………………」

「急用って何ですか?
 仕事よりも大切なことなんですか?」

「……………………小山先生には関係ありませんよね?
 小山先生こそいいんですか?
 抜け出して」

「………………っ
 私のことはいいですから………下山先生は何をしに行くんですか?」

「………………………」

「私、下山先生のこと好きなんです
 下山先生のこと………知りたいんです」

「………………ごめんなさい
 俺には大切な婚約者がいます
 だからもう………俺に関わらないでください」

「どうして…………私のこと嫌いですか?
 魅力……ないですか?」

「……………別にそういう訳では………」

「だったら…!」

「でも!
 これ以上、彼女を不安にさせたくない
 彼女を苦しめたくない」

「……………………じゃあキスして」

「…………………はっ?」

「……キスしてください
 そしたら諦めます」

「…………………意味が分からないんですけど
 言いましたよね?
 俺には大切な婚約者がいると」

「分かってます
 だからキスしてください
 キスしてくれたらもう諦めますから」