私の人生を変えてくれた人  ~もし君が生きてたら~ 前編


「さっきイルカさん抱きしめてただろ?
 俺がおいでって言ったのに…………寂しかった」

「ごめん…………」

「………俺じゃダメか?
 ぬいぐるみに喧嘩売るのもどうかと思うけど…………俺が側にいてやりたい」

「………雄斗がいいよ
 ぬいぐるみよりも…………雄斗の方が落ち着く」

「まぁ俺があげたぬいぐるみだからさ………嬉しいけど、俺がいる時は俺だからな
 絶対香音を一人にしないから」

「うん………ありがと」

「…………トラウマはさ、無理して乗り越えようとしなくていいから
 無理なものは俺がどうにかする
 あんなの受け入れろとも忘れろとも言わない
 だから………俺を頼ってほしい
 俺がいることを忘れないで」

「…………忘れたことなんてないよ
 どんな時も……1番に思い浮かぶのは雄斗の顔だよ
 でも………体が勝手に動いちゃうの
 側にいてほしいって思ってても………逃げちゃう………ごめんね」

「謝らなくていいよ
 それなら俺が意地でも香音の側にいるから
 香音がいくら嫌って言っても抱きしめ続ける」

「雄斗………」