私の人生を変えてくれた人  ~もし君が生きてたら~ 前編


「なら良かった
 でも………まだ違うんだよな?」

「ううん………もう充分だよ………
 懐かしい味…………ありがとね………」

「……………香音が付き合ってくれるなら俺はまだ頑張りたい
 少しでも近づけるように…………香音がまたお母さんの味を食べれるように」

「もういいよ………そんなことしなくていい………無理なお願いして………ここまでしてくれたんだもん…………
 もう大丈夫だよ………」

「香音のためだけじゃない…………倖輝や俺のためでもある」

「………お兄ちゃんは分かるけど……雄斗も……?」

「あぁ
 俺だって知りたい
 香音が育ってきた味を
 だから…………やらせてくれないか?
 香音の協力がないと出来ないんだ」

「……………本当にいいの?
 大変だよ……?」

「いいの!
 俺がやりたいからやるの!
 だから香音は何も心配するな」

「………雄斗、ありがとう
 お願い………してもいい?
 やっぱり…………あの味を忘れられないんだ………こんなことになるなら…………もっとたくさん食べれば良かった………………」

「もちろん!
 香音がまた食べれるように頑張る
 きっとそれは倖輝も同じだから」