私の人生を変えてくれた人  ~もし君が生きてたら~ 前編


「…………怖かった
 もちろん楽しかったけど…………辛いし寂しかった
 雄斗に…………すぐ側にいて欲しかった……」

「……そっか」

「あの駐車場は………近づけない
 包丁も………見れない
 だから今もこうして逃げてるの………多分雄斗も気づいてる」

「だよな………分かるよ、その気持ち」

「…………逃げたいのにね………雄斗とは離れたくないの………雄斗はご飯作らなきゃなのに………雄斗がお腹空くまで抱きついて離せなかった…………こんなのダメだよね…………」

「ダメじゃないぞ
 香音は凄く頑張ってる
 離れないといけないの分かってるから………勉強してたんだろ?」

「うん…………」

「寂しいから雄斗の服着てるんだろ?
 匂い……安心するんだろ?」

「そうなの………雄斗が側にいてくれてるみたいで………落ち着くの………」

「だったら学校にも着て来い
 香音が嫌じゃなければ」

「……いいの…?」

「あぁ
 制服の上からなら問題ない
 校則も着ていいことにはなってるけど誰も着てないだけ」