「香音………あんなやつのために香音が手を汚す必要はない」

「…………許せない
 お母さんも…………雄斗も傷つける………
 あいつ殺して…………私も死ぬ………」

「ダメだよ………そんなことしたら
 遊園地行けなくなっちゃう」

「…………………」

「俺、楽しみにしてるんだよ?
 久しぶりじゃない?」

「……………………」

「絶対楽しいよ
 ほら、文香ちゃんもいるんでしょ?」

「……………もういい」

「何が?」

「…………もういいの
 全部…………どうでもいい………」

「そんなこと言わないでよ…………やっと落ち着いてきたのに……………来なきゃ良かったね………」

「………………」

「………………香音、水族館行こっか」

「…………何で」

「お魚見て癒されよ!
 嫌なこと全部忘れよ!!」

「…………行かない」

「………………行こう?
 楽しいよ?」

「……………行かない
 一人で行けば」

「えー、一人で水族館は行けないよー!
 それに楽しくない
 香音がいないと楽しくない!」

「…………………………」

「ほら、行こ!
 俺が楽しませるから!」

そして香音の腕を引いて車へ向かった