「香音!」

雄斗の声が聞こえたけどもう遅い



あいつのみぞおちめがけて拳を振りかざした


「うっ………」

うめき声が聞こえた

「テメェ………よくもやりやがったな……」

そして拳が振り上がった


いやっ…!


次にくる衝撃を覚悟した



「うっ…………」

近くでうめき声がした

おそるおそる顔を上げた

「………ゲホッ…………香音………大丈夫か………」

「雄斗……どうして…………」

「お前を守るって言ったろ?」

そう言って力無く笑った

「雄斗………
 許さない…………絶対に許さない……!」

「お前、よく見たらあの時のガキか
 生きてたんだな
 しかも無傷か」

「うるさい!
 雄斗離して!!
 あいつ殺すの!」

「やだ………離さないよ」

「なんだよ、ガキ
 そいつ、父親?
 にしては若いな
 彼氏か」

「お前に関係ない!」

「やっぱガキはガキだな
 母親の次は彼氏に守られてんのか
 お前のせいでみんな苦しんでるじゃん」

「……………………」

「何?
 また遊んであげようか
 今度は彼氏の前か」

「黙れ!
 殺す殺す殺す!
 雄斗離して!」

「香音、落ち着け
 ここで手を出したらあいつと同じだ
 お前はあいつと違うだろ?」