私の人生を変えてくれた人  ~もし君が生きてたら~ 前編


「…………寝てなかったんだよ
 この3日間」

「はっ?
 だって看護師とか……見回るんじゃねぇの?」

「…………やられた
 香音ちゃん、頭が良いというか何というか………」

「どういうことだ?」

「………初日に聞かれたんだって
 いつ見回りくるのか」

「…………」

「聞かれても普通は答えないんだけど……理由によっては……」

「理由って……………」

「香音ちゃんの場合………起きて急に人がいたら怖いって……それは本当かもしれないけど………逆手にとられた
 後、俺が香音ちゃんが病院苦手だって言ったことも………裏目に出ちまった」

「………何で?」

「見回る時間、いつも同じだから………
 だから………その時だけ寝たふりして……ずっと起きてたんだ」

「…………っ!
 起きて何してたんだよ………」

「…………勉強
 昨日、看護師の見回りとは別に香音ちゃんのところ行ったら勉強してた」

「嘘だろ………」

「とりあえず……勉強道具は没収した
 ………退院した方がまだ寝るか?」

「………………俺が意地でも寝かす
 一緒にいれるならそんなことはさせない」

「…………分かった
 急だけど明日退院な」

「いいのか?」

「だって寝ないんだもん
 栄養も点滴で今はどうにかなってるから
 ご飯もお前が作った方が食べるだろ」

「……ありがとう
 絶対に食べさせる」

「おう
 後で勉強道具取りに来てなー」


そして香音のところへ向かった