「オマエら、よ~く聞け! 守世陽彩をいじめていい奴は、婚約者である俺様だけだからな!!」




静まりかえる教室。

魔王はご機嫌斜めのまま、無理やり私にスリッパをはかせてくる。



「行くぞ、陽彩」


「えっ? 行くって?」


「校内を案内しろ」


「いっ…今から?」


「俺は転校生だ。どこに何の教室があるか、なにもわからないだろうが!」


「でも……もうすぐ朝のHRが始まっちゃうよ。それに片付けないと……先生が来ちゃうし……」



ゴミを拾おうと、私は床にしゃがみ込む。

でも魔王に腕を掴まれ、グイっと引っ張られてしまった。



「ゴミ処理は、オマエがするべきことではない!」


「……でも」


「陽彩をいじめてる奴も、見て見ぬふりをしてる奴も、この中にいるよな?」