麗先輩は真っ白なハンカチをユラユラ振り、上に放り投げると……


あら不思議。


何も持っていなかったはずの左手に、百合のお花のブーケが握られているではありませんか。



これには私も、「すごーい」とパチパチパチ。


でもすぐに、私は平常心を保てなくなってしまった。


だってハニースマイルを浮かべた麗先輩が


『だ』『い』『す』『き』


私に向かって、口パクをしてきたから。




かぁぁぁぁと、顔がほてりだす。



ドキドキの許容オーバー。

顔に手を当てた私。

クラスの女子同様、しゃがみ込んでしまったのでした。




魔王だけじゃない。


麗先輩のハニートラップも、心臓に悪いよぉ……