目に飛び込んできたのは、まだ塞がれていない傷。



酷すぎる……



陽彩ちゃんの制服の左腕部分は破れ

刃で肉をえぐられたような、痛々しい跡が残っている。




俺は頬にかかる陽彩ちゃんの髪を指ですくい、耳にかけてあげた。




「ごめんね……一人で戦わせて……」



怖い思いをさせて痛い思いをさせて、本当にごめん……



「君の抱える苦しみ全部を、俺の優しさで包み込んであげたいんだ」



だから……




「陽彩ちゃんを溺愛する特権を、俺だけにください……」





俺は陽彩ちゃんをお姫様抱っこし、額に甘いキスを落とすと



「極甘な夢の世界に、連れて行ってあげるからね」



陽彩ちゃんを抱きかかえたまま、屋上を後にした。