肩上のふんわりボブを振り乱し、陽彩が走ってくる。

俺の前まで来ると、はぁはぁと息を落ち着かせだした。



「私のお願い……界魔君に……伝えてもいい?」



好きな子からのお願いって……


まさか……


『私だけの王子様になってください』


だったりなんかして。



な~んてな。

ないない、絶対に。



「あのね……」


「ああ」


「界魔君に……」


「なんだよ?」


「なって欲しくて……」


「は?」


「だからその……王子様に……」