憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした




課題に集中しようとするけど、今何してるんだろうと隣が気になって仕方がなかった。



「あの、…いつもここにいるんですか。」


気づいたら話しかけてた。

この緊張を悟られたくなくて顔は課題に向いたままだ。



「…大体は。お前もここ好きなのか。」

「好きっ…、ていうか…、落ち着くから、好き、です。」


好きという言葉に緊張した。
私に向けられた好きじゃないのに。




「あっ、この花たち綺麗ですよね〜!何の花か知ってますか?」

ドキドキを紛らわせるために目の前の花たちを話題にする。

男の人に花の話ってまずかったかな?
…ていうか、私詳しくないのに知ってる風に聞こえたかな?



「これ知らない?」


長い綺麗な指が指したのは、

「薔薇は分かります!赤い薔薇が3本もありますね!」


薔薇って大きな花束のイメージがあるから誰か薔薇の花束貰って3本だけ花瓶に入れたんだろう。


隣で小さくため息をつかれてたことなんて知らない。



あとの3つは白い小さな花がたくさんついてる。

なんだかおしゃれな花瓶が置いてあるなと改めて感じる。
空き教室に置いておくにはもったいないぐらいの大人っぽさを感じた。