憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした





彩は1時間もそのままの状態でいた。



絵が上手く描けたならこの光景が描きたかったな。

あ、鳥たちも彼を見ているのかな?この人かっこいいよね。

ここに毎日いるのかな。

私が来てるの知ってるのかな。

…私をここで待っててくれてるのかな。


なんて1人で考えては嬉しくなったり、そんな訳ないと勝手に落ち込んだりしてる。






「……何で、そんなとこいんの。」


少し掠れた声が私の耳に聞こえた瞬間、胸が震えて彼の綺麗な目が私を見た時には、胸を掴まれてた。


じっと私を見ている視線に動揺して何も言えなくなる。



すると体を起こした彼がソファの隣を優しく叩いた。


「おいで。」



その一言に何でか涙が込み上げた。

流さないように食いしばって、のろのろとソファに座ると彼が優しい笑みを浮かべた。




その瞬間ぼろぼろと涙がこぼれ落ちたと同時に胸が満たされた気がした。


自分がよく分からなくて、「ごめんなさいっ。」と謝って目を擦る。




ゴシゴシと拭ってた腕を取られたら、優しい温もりに包まれていた。



「…俺こそごめん。遅かったよな……。」


ぼそっと呟かれた言葉は良く分からないけど、頭に回されてる手が優しくポンポンとしてくれて私は子どものように泣き続けた。