授業中に学校を散歩もしていた。
先生たちが男子生徒と鉢合わせしないよう十分に気をつけてくれていた。
けれどこの日、授業をまともに受けるはずもない生徒と鉢合わせてしまう。
人気のないところを女の先生と歩いていたところ校舎の角から1人の男子生徒が出てきた。
先生は咄嗟に彩を背に隠したけれど遅かったらしく、生徒の視線は彩に向かっていた。
「あ、あの…。間中くん、申し訳ないけど…」
「分かってます。これ以上近づきません。」
どうしたのだろうと彩は前に立つ先生とその先にいる生徒を眺めていた。
初めてそういう彩を目にした夜鴉総長は、事件を聞いた時のように胸が締め付けられた。
あんな無の顔は初めて見たに等しい。
どうにかしてやりたい気持ちと、男に対する恐怖心を煽る訳にはいかなかった。
すぐにどこかへ行った生徒を横目に先生との散歩を再開する。
しばらく歩くと古びた校舎が出てきた。
「先生、ここは?」
「ここは普段使わない棟なの。…入らない方が良いわよ?」
「何でですか?」
口を閉ざす先生をじっと見つめる彩
「……ちょっとだけだからね?先生から離れないでね!」
「ありがとうございます!」
2人が棟に近づくのを上から見てる人影があった。



