憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした





彩は1人保健室の隣の部屋でもらった課題をしていた。


1日5枚もらうプリントは1日かけてゆっくり解いていた。



この部屋のカーテンが風で靡く様子がとても綺麗で時間を忘れて眺めている。



両親と学校の判断は、男から徹底的に距離を取っての通学となった。

送り迎えには両親が来て、学校では保健室の隣の部屋で過ごす。


たまに女の先生が話しにやって来て、何でもない話をする。



そうすることで少しずつ彩の顔に感情が戻ってきていた。



「はーい、今日のおやつ。彩ちゃんの好きなチョコだ。」

「…先生、毎日くれるけど。いいですよ?」

「ううん!貰って!いらなくないでしょ?」

「…嬉しいですけど。」

「彩ちゃん大好きーって気持ちがこもってるから。」

「先生の?」



うふふと笑うだけ。





退院して1ヶ月
季節は冬へと向かっていた。


完全に冬服となった11月、彩は保健室登校になった。


女の先生だけと接していたのが、同じクラスの女子が何度も保健室に来たり、お昼を一緒に食べたりしていた。


そうなってからは圧倒的に笑顔が増えて、少しずつ男の先生とも顔を合わせるようになっていた。