憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした




必死で呼吸してる私の顔を上に戻した男は満足気に笑った。


「彩ちゃんの唇柔らかくて気持ちいい…。彩ちゃんも気持ち良かった?泣くぐらい良かったの?」



溢れた涙を男に拭われ、もう一度顔が近づいてきたから今度は顔を背けると、頭をガシッと固定されて逃げられない中2度目をされた。



いやっ、…誰か助けてっ!



声にならない思いを胸の中で叫ぶ。
暴れようにも上に思い切り乗られていて動けない。



……初めてなのに。こんなことになるなんて…。



思い出す助けてくれたヒーローの後ろ姿

そして、


空き教室で見たかっこいい背中



今されてるのが本当のキスなのに、あの人とした間接キスのほうが比べ物にならないくらいドキドキして、嬉しかった。



こんなことになるくらいなら、あの人に直接して欲しかった。

あの人となら初めてが良い思い出として残ったのに。




「ああ、ごめんね。辛い?大丈夫、こっちも触ってあげるから。」


泣き始めた私をどう捉えたのかは知らないけど、この行為が一段階進むんだと察した。