憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした




何もない平凡な日々が過ぎていく。

何度も空き教室に行こうとしたけど、勇気が出ない上に、クラスの女子とお昼を食べるようになってた。


楽しい学校生活を送れてるけど、みんなの恋バナを聞く度に、今空き教室にいるかな。もう忘れられてるかな。とあの人を思い出さない日はない。



心にぽっかり空いた穴を友達という新しいもので埋めようとするけど、どうやら場所が違うみたい。

1人になると日に日にその穴が広がっていく感覚があった。




それに、何だか最近強い視線を感じることが何回かあった。

周りを見ても誰も私を見てる人はいないのに、たまにぞくっとするぐらいの視線を感じた。



怖いけど、気のせいだろうと電車での通学をしてたけど…。




今朝、知らない人に声をかけられた。


『これ、落としたよ?』

その人の手には大きく膨らんだ黒い財布が。


私のじゃないです。と言って立ち去ろうとした私は手首を掴まれた。


『交番届けたいから場所教えて?』


有無を言わせないような笑みと手首を握る男の人の手に半ば引っ張られながら案内した。



こっち?とか最初聞いてたのに、いつの間にか自分で『あっちかー。』とか言いながら私を連れてた。