「ごめんなさいっ!」
嫌悪感を感じたから、とりあえず離れようと前に進む。けど、なかなか進めない。
「お前がグイグイ行くから逃げたじゃねーか。」
「大丈夫だろ。目立つから見つけられるって。」
そんな声が聞こえて人混みを縫うように進んで行った。
人混みを抜けたら文化祭の賑わいがない方へと足早に進み、気づいたらあの空き教室のある棟に来ていた。
ここならきっと外部の人たちは来ないはず。
ふぅ、と張り詰めてた緊張を解いて、近くの木陰で落ち着く。
しゃがもうとしたところで、足が痛んだ。
見ると靴擦れを起こしていた。
ヒールで学校中を歩いていたからだ。
さっきまで楽しかったのが嘘みたいになくなっていく。
痛む足で私は空き教室に向かっていた。
あそこにはソファがあるから、休憩させてもらいたい。きっとあの男子も文化祭だからいないはずだし。
いや、…いた。
ソファで寝てるのを見るのは、ちゃんとは初めてだ。
足が痛むのも忘れるくらい、綺麗な寝顔をじっと見つめる。
鼻が高い。肌も綺麗。
目にかかってる前髪をそっと手を伸ばして退けてみれば目を閉じてても綺麗な寝顔が全部見えた。
ソファの側に座ると目の前に綺麗な顔が視界いっぱいにある。
「…さすがにこんな綺麗じゃないよね。でも、ヒーローは中身だもん。あの子の中身はきっとヒーローのままだよ。見た目が筋肉盛り盛りでも、…ちょっと怖いかな。」
あの男子のゴツさを思い出して、想像する。
でもバニーちゃんと並んでる姿は何と言うか、色っぽく見えた気がした。



