「何、見惚れてんだか。」
バチッと目が合って慌てる。
「み、見惚れてたんじゃなくて、ラーメン美味しそうだなって思ってたんです!」
決して貴方ではない!という意味を込める。
「ふーん。」
興味無さそうにまたずるずる食べ始めるから、私もラーメンの良い匂いに包まれながらメロンパンをかじる。
「ほら、口開けろ。」
「えっ?…っぐ!」
「あ、わり。もっかい、入れてやるから。」
ラーメンを食べさせられてる私
もぐもぐと小さく口を動かす私に「ラーメン啜らねえの?」と言いながら何度も口に入れてくれる。
人に食べさせられて啜れないでしょ。とか、このラーメン美味しい!とか思いながら、口元に運ばれてくる麺をひたすら口に入れていく。
どのくらいそうしていたのか。
結局私に残りの麺を全部くれた形になった。
少し汚れた口元を拭いながら、口いっぱいの麺をさっきの彼みたいにもぐもぐ飲み込む。
何で?と思ってる私には構わず、次は2個目のおにぎりを手にしてた。
「これも食いたい?」
物欲しそうな顔に見えたんだろうか。
横に首を振れば、顔が緩んで「リスだな。」と言った。



