口がもぐもぐ動きながら、じっと見られてる。
口元を隠す手が綺麗で少し見惚れてしまった。
「ここ俺のなんだけど。」
数分に感じた見つめ合いはその一言でバサッと切られた。
「俺のって…。みんなの空き教室ですよ?この前だって別の男子がいましたけど?」
何言ってるんだこの人
顔が良かったら教室を1つもらえるなんて制度ないでしょ。
「何かバカにしてるけど、お前の方がバカなんだよ。記憶力もないんだな。お子ちゃま」
"お子ちゃま"
そのワードでピンとくる。
「この前の人…。」
「殴られて寝込んだ。」
「絶対うそ。」
間髪入れずに言った私に、片方だけ上げて「猫パンチだったもんな。」と笑った。
何だ…、この前の人か。
全く知らない人じゃなかったことに安堵した。
いや、この人のことは何も知らないんだけど、初対面で泣きながらこの人を殴ってる私にもう羞恥心はない。
とりあえず落ち着いた私は、お腹も空いてるからメロンパンを口にする。
隣からはずるずると良い音が鳴ってる。
学校でラーメンて、美味しそう…。
それにラーメン食べてる横顔が綺麗すぎる。
本当指長くて綺麗だな…。



