「ねぇねぇ、白井さん。夜鴉にいた時さ、遊蘭の幹部見たことない?」

「うん。名前も知らない。」

「やっぱそうなんだー。ねぇ〜教えてー!この学校にいるんだよね!?」

「教えるわけねーだろ。」


「大輝さんみたいにカッコよくてねーから引っ込んでんだろ。」

「は?あんな奴より100倍かっけぇんだ。なめんな。」

「100倍!?間中大輝(まかな だいき)先輩の100倍って異次元じゃん!」

「てめー、総長のことバカにしてんのか?」



自習中とは思えない盛り上がり。
男子はお互いの総長がかっこいいと言い合ってるし女子はイケメンだと認知されてる夜鴉の総長の100倍を想像して遊蘭の総長を各々作り上げてる。



夜鴉の幹部はさすがに知ってるんだろうけど。
…知られてなくても、同じ学校なら気づくはず。

いや私の勝手な想像だけど。



頻繁に喧嘩してるわけじゃないのに、この慕われようは男子が言ってたように本当に100倍かっこいいか、それとも圧倒的に強いか。


…まあ、きっと後者だろう。
総長だって結構整ってた。あの100倍はもう芸能界のトップレベルのイケメンになっちゃう。



でも、かっこよくて強いとか最強じゃん…。


結局は女子たちと同じ思考に辿り着き、聞こえてくる妄想の髪型や性格を組み合わせてみる。




「…そういえば、あの人雰囲気あったな。」



あの時暗くて顔は見えなかったけど、なんか独特の雰囲気を感じた。

それに、体も引き締まってた気がする…。



遊蘭の総長を想像してた頭の中はいつの間にか、あの時の男子を思い返してた。