…まさか私、"ヒーローになりたかった"とまで言っていたんだろうか。


バカな奴だと完全に思われたはずだ。



でもまあ、救いなのはあの男子を見たことがなかったし、名前もお互い言ってないからこのまま過ごしてれば会うことのない人だと。

この空き教室は普段行かない棟だし、もう会うことはないはずだ。



携帯のケースに挟んだ紙
これは何故か捨てる気にならなくて、常に持っておきたかった。


"女はヒーローじゃなくてお姫様に憧れるもんだぞ"


この言葉もお子ちゃま扱いだし、小さな頃の私の夢も否定されてるけど温かく感じた。


もう会うことはないだろうし、あんな醜態晒した私は会いたくないの方が正しいかもしれない。



…それに、あんなに練習したのにやっぱり力抜けちゃってたし。

それこそ小さい子どものように叩いてたな。

きっと私にヤンキーは合ってないんだ。



それがはっきり分かっただけでも良かったかもしれない。