蓮は遠くに幸がいる事を分かっていた。
門の前できょろきょろしているポニーテール姿の幸は、きっと俺の事を捜している。
蓮はわざと気づかないふりをして、透子と仲良くいちゃついた。
昼休みのあの事件以来、蓮は自分らしさを失っていた。
皆の前で、幸に恥をかかされたことは今となってはどうでもいい。
それよりも、あの男が許せなかった。
安藤拓巳、あの時、すぐに幸を守った男。
自然にそして堂々と幸の腕をつかみ自分の方へ幸を引き寄せた。
そして、俺らの前から離れる時に、拓巳は、一瞬、俺を見た。
その目はまるで戦いを挑む戦士のようだった。
蓮は今ではチャラ男だけど、元々は究極の負けず嫌いだ。
売られた喧嘩は買うしかない。
幸が関わっているのなら、絶対に…



