れんれんと恋するための30日



「存在を忘れたなんて一言も言ってない。
ちょっとの間だけ忘れたって言っただけ」


「そんなの一緒やん」


「一緒じゃない!」


福はまたその友達に詰め寄ろうとした。


「幸、もうやめろ」


そう言って、福の肩をつかんだのは拓巳だった。


「だって、拓巳…」


「いいから」


拓巳は皆が見ている場所から、幸を教室の隅に連れて行った。
蓮はそんな二人をぼんやりと見ている。
くだらない…
俺は置き去りか?


「蓮、行くぞ」


「おう、あ、ちょっと待って」


蓮は近くにいた幸のクラスメートを捕まえてこう聞いた。


「さっきの拓巳って、名字は何て言うの?」


「安藤拓巳の事?」


「安藤ね… サンキュ」


蓮は初めての感情に戸惑った。
幸をあいつに近づけたくない…