れんれんと恋するための30日



「幸?」


そう優しく聞いてくる拓巳の声も、今の福には届かない。
嬉しさと切なさとやりきれなさで、福の心ははち切れそうだった。


その日の夜、福は眠りに落ちると幸の存在を捜した。
福も幸も、この深い意識の中でしかできない交流に、まだ中々慣れない。


「福、お帰り」


幸の息遣いをまた身近に感じる。
福は、幸が抱きしめてくれていると思った。
福は堪えきれずに、奥深い意識の中で泣きじゃくった。


「神様が言ってた意味がようやく分かった。

私がここに来ることでたくさんの歪みが生じるって事を。

神様は普通の人には許可することはないけど、私には許可してくれた…
それは、その歪みさえも喜んで受け入れてくれる同じ魂を持った双子の姉がいるから。

神様が私に厳しいほどの条件をつけたのも、きっと幸を守るためなんだ。

今日、拓巳と話してて、色々考えた…
福が幸になるこの30日で、幸の将来はきっと変わってしまうんだって」