れんれんと恋するための30日



「ミッチーは、実は、あいつ…
まだ日本じゃ知られてないけど、ヨーロッパでは結構名の知れてる画家なんだ」


「画家?」


「そう、ミッチーのお父さんは有名な美大の教授で、一年の半分はフランスで暮らしてる。
だから、ミッチーも行ったり来たりの生活なんだ」


「フランスと?」


「うん、俺は、中学が一緒で、その頃からミッチーは有名だっだ。
あ、俺らより2個上だから」


「年が?」


「そう、そしたら、今年の春に急にこの学校にやって来たんだ。
編入試験受けて。
そして、漫研に入った。
見た目あんなだろ? 
誰も何も聞けないわけだよ、年上だしさ」


福はミッチーの事をもっと知りたくなった。


「なんでこの学校に入ってきたの?」


拓巳は自分の口に人差し指を当てて、小さな声でこう言った。


「愛する人との約束を果たすために帰って来たらしい」


「愛する人?」


拓巳はそれ以上は何も教えてくれなかった。

福は心がざわざわした。
死んでいようが生きていようが、愛する人を思う気持ちは変わらない。
ミッチーにそんな一面があったなんて…