「ミッチーは、実は、あいつ…
まだ日本じゃ知られてないけど、ヨーロッパでは結構名の知れてる画家なんだ」
「画家?」
「そう、ミッチーのお父さんは有名な美大の教授で、一年の半分はフランスで暮らしてる。
だから、ミッチーも行ったり来たりの生活なんだ」
「フランスと?」
「うん、俺は、中学が一緒で、その頃からミッチーは有名だっだ。
あ、俺らより2個上だから」
「年が?」
「そう、そしたら、今年の春に急にこの学校にやって来たんだ。
編入試験受けて。
そして、漫研に入った。
見た目あんなだろ?
誰も何も聞けないわけだよ、年上だしさ」
福はミッチーの事をもっと知りたくなった。
「なんでこの学校に入ってきたの?」
拓巳は自分の口に人差し指を当てて、小さな声でこう言った。
「愛する人との約束を果たすために帰って来たらしい」
「愛する人?」
拓巳はそれ以上は何も教えてくれなかった。
福は心がざわざわした。
死んでいようが生きていようが、愛する人を思う気持ちは変わらない。
ミッチーにそんな一面があったなんて…



